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ポンピドーセンターでのマルセル・ディシャン回顧展

昨年9月パリに行った時、ポンピドーセンターでは丁度大々的なマルセル・ディシャン回顧展 が開催されていました。これは本当に感謝!の一言でした。 こんなに中身の充実したデシャン展はディシャン信奉者・同行のフランス人 Dan も驚くほど

でした。 芸術の都パリは今だに健在だと僕自身感心した次第で、これだけでもう十分パリに来たかい

がある!と感謝感激!

何せこの企画のために世界中から貴重な作品群・資料を集め、それらをひとつのかたちにま

とめ上げたのですから、その技量、コネクション、お金のかけ方は尋常ではないのです。

そう、その企画会場の入り口から出口まで実に入念に考えられ、それらの構成美・展示空間

は本当に素晴らしいものでした! Dan 曰く、「田坂さんはラッキーだ。こんな回顧展はもう二度とないと思うよ」と。 そりゃ、パリに住む Dan だって同様ですが、実際彼は僕よりもずっと長く会場にいました。

ディシャンは今だ解明不明でその活動・思想・作品・哲学の幅はとてつもなく広く、そして深い

希有の人です。ある意味大天才といっていいのですが、ディシャンの解釈には「これだ!」と

言い切れるもの、人が未だに出てきていません。

まさにディシャンは読めない人なのです。それがディシャンそのものと言っていいくらいに・・

そしてまた、彼は現代美術の父と言われながらも今だに現代美術の頂点に君臨している

そう、全てが冴えてるのです。

ドイツのアーチスト・ヨーゼス・ボイスは生前「ディシャンは評価されすぎている」なんて言って

いましたが、それは反対で「ディシャンはもっと評価されるべきだ」と思ったものです。

そして、ディシャンが亡くなり遺作が発見されました。

もうアートを辞めていたとばかり思っていた世間の美術関係者・ディシャン研究家の人達はそ

の緻密な指示書・作品に驚いた次第です。この世を去っても実にディシャンらしい冴えた

仕草です。

その遺作作品はフィラデルフィア美術館にあります。NY滞在中何度も行って見ました。好き

なのにやはりどう解釈していいのか分からず他の作品共々戸惑いだけが残って

いたものです。

面白いことにはディシャン本人もその実現された作品は眼にしておらず、他界しています。

おそらく彼はそのことも見越していて、そのことを楽しんでいたのではないか!と

僕は自己的な判断をしています。

だってディシャンはやることなすこと冴えまくっていて、気が利いていて、そしてさらに

笑える要素・ユーモアのセンスが半端ではないからです。

ちなみに、フィラデルフィア美術館はディシャンの作品を世界で一番多く所蔵しています。

パリでの回顧展ではフィラデルフィア美術館、そしてグッゲンハイム美術館、そしてコレクター

等々から多く拝借していました。

まさに双方の信頼関係のなせる業です。

しかし、滞在中もう一度行ける時間があったのに・・・ととても反省。

「過ぎたるは猶及ばざるが如し」です。

それでも、たまたま訪れたパリで世紀的なディシャン回顧展に一度でも遭遇できたのは

奇跡に近いものがあり、感謝してもしきれないくらいの有難さです。

Thanks you again !

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